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34話 王族の忠告と、路地裏に残した愚かな貴族

Auteur: みみっく
last update Date de publication: 2025-10-19 06:00:27

 はぁ。今更、バカ貴族を騙すメリットがないだろ……騙してどうするんだよ……。

「信じなくてもいいけど。他国の王族を殺そうとして、そっちこそただじゃ済まないんじゃないの? じゃあ、人を待たせてるんで……」

 俺は兵士たちに後の処理を任せ、その場を後にしようとした。剣を鞘に収めるカチャリという音が、路地の静寂に響いた。

「き、貴様……そんなウソを……」

 貴族がまだ何か喚いているが、これ以上バカ貴族と話をしても時間の無駄だ。俺は無視をして、ミリアとの合流地点というか、ミリアの屋敷に帰ってきた。彼の叫び声が背後で遠ざかるのを感じながら、俺の足取りは速かった。

♢ミリアとの再会と新たな騒動の予感

 屋敷の門をくぐると、ミリアが駆け寄ってきた。その顔には、安堵と心配が入り混じった複雑な表情が浮かんでいる。瞳の奥に、俺の無事を確かめるような強い光があった。

「おかえりなさいっ♪ ユウヤ様」

 ミリアの声は、弾むような喜びと、かすかな不安を含んでいた。俺の姿を視界に捉え、心底安心したような響きがある。彼女は、俺の体に触れて確かめたいのを我慢しているようだった。

「ただいま~」

 俺は笑顔で答えた。彼女の心配を少しでも和らげたかった。

「また血だらけですが……おケガは、ありませんわよね?」

 ミリアは俺の服についた血を見て、心配そうに眉を下げた。その青く透き通った瞳は、俺の身を案じる気持ちでいっぱいのようだ。こんな風に心配してくれるのは嬉しいな。ミリアも無事に帰れてよかった。

「うん。無いよ」

 俺は首を振り、無事をアピールした。彼女の視線が、俺の全身をくまなく確認しているのがわかる。そして、安心したように、そっと胸に手を当てた。

「全員始末をなされたのですか?」

 ミリアは軽く恐ろしいことを言う。全員皆殺しにしてきたのか、と聞いているのだろうか。その言葉に、わずかな血の匂いが混じっている気がした。

「いや……全員腕とか足を斬り落として、治癒薬で生かしてあるよ」

 俺がそう答えると、ミリアは目を丸くした。驚きと、どこか不満げな表情が浮かぶ。

「え? 治癒薬がもったいないですわよ」

 ミリアはまた恐ろしいことを言った。確かに、あのバカ貴族と盗賊に治癒薬はもったいないのは事実だ。だが、きちんと罰を受けさせたいし、見せしめになってもらうためでもある。

「ミリアと俺を襲ってきたんだから、きちんと罰は受けてもらわないとな」

 俺は諭すように言った。

「そうですわね。ユウヤ様を襲うなんて許せませんわ!」

 ミリアの青く透き通った瞳に、怒りの炎が再び宿る。その時、ん?外が騒がしくなってるけど……襲撃じゃないよな?バカ貴族の親でも攻めてきたのか?不穏な空気を感じ、俺は屋敷の門の方に意識を向けた。まるで嵐の前の静けさのような、ざわめきが聞こえてくる。

♢国王の来訪とバカ貴族の処分

 外の護衛が慌ただしく入ってきた。彼らの顔は、どこか青ざめており、緊張と焦りがはっきりと見て取れる。冷たい汗が額ににじんでいる。

「王様が、お越しになられています。ミリア様とユウヤ様と謁見をと申されていますが?」

「バカ貴族の事じゃない?」

 俺は冷静に推測し、ミリアに視線を送った。彼女の瞳にも、同じ推測が浮かんでいるのがわかった。

「ですわね。お通しして構いませんか?」

 ん?俺が屋敷の主じゃないし、ミリアが決めることじゃないの?悪い気はしないけど。彼女の気遣いが、じんわりと心に広がる。

「あ、うん。でもミリアの屋敷だし、俺が決めることじゃないと思うよ?」

「……わたしの夫のユウヤ様に、お伺いをしたのですわ。この屋敷もユウヤ様の物になりますし♡」

 ミリアの青く透き通った瞳が、俺を甘く見つめ、その口元には満足そうな笑みが浮かんでいる。熱を帯びた視線が、俺の頬を微かに染める。

「えっと……まだ結婚してないって」

 俺は思わず言葉に詰まった。彼女の先走り具合に、いつもながらの戸惑いを覚える。

「まだですが、結婚は決まっていますわよ?」

 ミリアは自信満々に言い放つ。その声には、一切の疑いがなかった。

「あ~うん……そうだね」

 俺は観念して頷いた。どうやら彼女の決意は固いらしい。この流れはもう止められないだろう。

「お通ししてください」

 ミリアが護衛に指示を出すと、俺の隣にミリアが座り、対面に国王たちを迎え入れた。部屋の扉がゆっくりと開き、国王と、その脇に控えるお付きの人物が姿を現す。彼らの足音が、静かな部屋に響いた。国王の顔には、深刻な表情が浮かんでいた。

「そちらにお座りください」

 ミリアが優雅に手で促す。その仕草には、皇女としての気品が滲み出ていた。青く透き通った瞳は、国王を真っ直ぐに見据えていた。

「押しかけて申し訳ありません……」

 国王は顔色を悪くし、恐縮した様子で頭を下げた。対面のソファーに座ると、お付きの偉そうな人は座らずに国王の後ろに控えた。この人は国王に意見もしているし、相談もされているので普通のお付きじゃないよな……服装もお付きの格好じゃなくて貴族っぽいし。宰相とかだろうな、多分。その立ち姿からは、有無を言わせぬ威厳が漂っていた。

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